
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
暖かい日が続くようになりましたね!
新学期も始まり、本格的に春を実感しています。
動物病院でも予防シーズンを迎えて、病院に行く機会も増える時期です。
病院に行ったときに、身体検査で指摘されがちな歯のお話をしてみようと思っています。
獣医さんが解説する歯周病って知ってる?

歯周病って?
歯周病の定義は『歯と歯ぐき(歯肉)の隙間(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こした状態(歯肉炎)、それに加えて歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう状態(歯周炎)を合わせて、歯周病といいます(厚生労働省e-ヘルスネット)』です。
人間と違って、わんちゃんやねこちゃんには虫歯がほぼ起こらないので、この歯周病がお口の病気の中心となっています。
一説には、3歳以上の成犬・成猫の80%以上が歯周病を持っていると言われていますが、動物病院で見ている限りでは、3歳以上の子のお口を見て歯周病がない子はほぼいないので、100%と歯周病があると思っていいと思います。
ちなみに、1歳以下のわんちゃん、ねこちゃんの歯肉炎もふつうによく見ます。
一般的に言われているよりも、実は歯周病はさらに身近な病気なのです。
わんちゃんの歯周病
一口に、歯周病と言っても、実はわんちゃんとねこちゃんにも少し違いがあります。
まず、わんちゃんに関しては、
・小型犬の方が歯周病の症状が強い
・歯石がつく量がねこちゃんより多い
・歯肉の退行もしやすい(根本の露出多いです)
・歯根の一部が細菌感染で溶けていることも多い
・歯根で感染して膿がたまり、目の下が腫れることも多い
・歯槽骨を溶かして口腔鼻腔瘻になることも
総じて、歯石が問題になることがねこちゃんより多いです。
ねこちゃんより、歯根がしっかりしているので歯根が一部溶けていても自然に抜けずに、逆に口の中の状態を悪化させていることも多いです。
食欲低下や口を痛がるなどの症状は、ねこちゃんに比べると出にくい印象です。
ねこちゃんの歯周病
ねこちゃんの歯周病の特徴は、
・歯石より歯肉炎が強いことが多い
・歯肉炎の症状の強さは個体差が大きい
・ウイルス(猫カリシウイルス、猫エイズウイルス、猫白血病ウイルスなど)が歯周病に関連している場合がある
・歯根がわんちゃんより小さいので、わんちゃんより自然に歯が抜けやすい
歯周病、特に歯肉炎が悪化するかどうかは個体差(ウイルスなども関連?)が大きいですが、悪化した場合はわんちゃんに比べ症状が激しく出ます。
口が痛くて、よだれが出たり、口が痛くてごはんが食べれないなどの症状が出やすいです。
最後に
歯はとても相談が多い分野です。
そして昔に比べて、歯ブラシの普及率も上がってより関心が高まっているなと思います。
ありがたいことです。
歯に関しては色々なトピックがあるので、今日からシリーズでまとめてみたいと思っています。
お付き合いいただけると幸いです!
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ