
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
みなさまG.Wいかがおすごしでしょうか?
この休み中にフィラリアの検査などの予防をすまそうと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
病院に行く機会の増えるこの季節、聴診を受けて心雑音が指摘されることも多いので今回は『心雑音』について取り上げてみたいと思います。
心雑音が聞こえたら?〜わんちゃん編〜

心雑音って?
心臓は同じリズムで収縮と拡張を繰り返しながら全身に血液を送るとても大切な臓器です。
私たち獣医さんは、身体検査のひとつとして聴診器でドックンドックン・・・と繰り返されるリズムを聴いています。
この心臓の音を聴くことで、心雑音や不整脈などの異常がないかをチェックしているのです。
心雑音があると、このドックンドックン・・・というリズムの中にザーという音が混じります。
厳密にいうと、ザーという音の大きさやどのタイミングで音が混じるか、どの場所でよく聴こえるかなどもチェックするのですが、まずは雑音があるということがとても大切です。
雑音をキャッチしたら、その次にレントゲンや超音波検査、心電図検査などをして診断していくという段階に入り、重症度などをみて治療が必要かを判断していくことができるからです。
子犬さんで雑音が聴こえる場合
子犬さんでも雑音が聴こえることがあり、これは先天性の心疾患の可能性を示唆しています。
先天性疾患は、早期発見と治療がとても大切で時期を逃すと治療ができないことがあるので要注意です。
ちなみに、1番多いのは動脈管開存症(PDA)という胎児の時の血管である動脈管が閉じないことで大動脈と肺動脈の間に血液のルートが残ってしまう病気で先天性心疾患のうち約30%程度を占めています。
その他にも、大動脈狭窄症、心室中隔欠損症(VSD)、肺動脈狭窄症なども先天的に起こる病気です。
参考:犬猫の循環器疾患1521例の発生状況に対する調査
お年をとってきて雑音が出てきた場合
中高齢期に圧倒的に多いのは僧帽弁閉鎖不全症(MR)で、マルチーズ、チワワ、キャバリアなど小型犬に多い病気です。
感覚としては、小型犬で雑音を聞いたらおそらくこの病気だと思ってほぼ間違いないというぐらいの割合で起こってくることが多い病気です。
心臓の左側のお部屋を分ける僧帽弁という弁から血流が漏れて心臓が収縮する時に逆流が起こることで心雑音が聞こえます。
一般的には、重症度によって薬で心臓の機能を補うことで治療をしますが、わんちゃんでも一部の施設で体外循環をつかって手術ができるようになってきています。
最後に
今日はわんちゃんの心雑音についてのお話をしてみました。
心雑音をそのままにしている方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ検査を受けてあげてくださいね。
どの程度悪いかを把握することでトリミングや運動などどこまでをしていいかなども判断できると思います。
また、今は昔より薬や治療法に選択肢が持てるようになってきたので、早めの治療で元気に過ごせる時間を長くすることができるようになってきていますよ。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ