
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
獣医さんから見ていると夏は危険がいっぱいです。
わんちゃんのお散歩をしているのを見ていつもヒヤヒヤしています。
明日から7月ということで、今週はそんな熱中症の話をしたいと思います。
これが危ない!熱中症リスク4選

わんちゃん、ねこちゃんが熱中症になりやすい理由
そもそもという話ではあるのですが、わんちゃん、ねこちゃんはとっても熱中症になりやすい動物です。
毛皮を着ているから?
それももちろんそうなのですが、汗がかけないということが大きいです。
人で用いられている暑さ指数(WBGT)という指標も、気温は1に対して湿度は7、輻射熱は2という割合で決まっています。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、身体の熱を大気中に放出できなくなるので、暑さに対する寄与度がとても高いのです。
汗は温度調整に大切な役割をしていることがわかると思います。
一方で、わんちゃん、ねこちゃんは肉球以外では汗を出す腺がないので、身体の表面から汗を出せません。
つまり、とても温度調整が苦手な動物なのです。
①輻射熱に注意
人が歩いていても照り返しが熱いなと感じることがあると思います。
この照り返し、前の項目でもお話したように暑さ指数(WBGT)に気温以上に寄与度が高い指標です。
さらに、地面に近ければ近いほどその影響を受けるようになります。
環境省のHPによると150cmの人間より、50cmのわんちゃんは平均して0.1~0.3℃、日差しが強いと2℃、温度が高くなるとされています。
つまり、わんちゃんやねこちゃんは人以上に夏は暑いのです。
②色に注意
夏は洋服の色をかえたり、日傘をさしたりして日中の暑さを紛らわしています。
そして、本能的に熱い時に黒い服は避けていると思います。
そうです。黒い被毛のわんちゃん、ねこちゃんは夏は要注意なのです。
実験では、風のない30℃の場所では、白い色と黒い色では表面温度に20℃も差が出ます。
つまり、30℃の気温でも黒い被毛のわんちゃんの表面温度は50℃に達している可能性があるのです。
本当に危険です!
③犬・猫種に注意
犬種や猫種も影響します。
わんちゃんの場合、汗をかけない分パンティングといってハカハカ呼吸をすることで熱を逃がそうとしています。
呼吸は熱を逃す一つの手段です。
なので呼吸器に弱点を抱える犬種、猫種は暑さがさらに苦手です。
つまり、パグやフレンチブルドッグといった短頭種のわんちゃんは夏は熱を逃せないので熱中症が本当に危険なのです。
ねこちゃんも同様で、わんちゃんと違ってパンティングはしないものの同じように気道が狭いエキゾチックなどの猫種は注意が必要です。
④部屋の温度に注意
ねこちゃんは日光浴が大好きです。
よく日の当たる場所でお昼寝している姿を見ると思います。
ただし、夏のお部屋への日差しには留意が必要です。
最近のお家は高断熱高気密。
それはとってもいいことですが、窓からの日差しで実は部屋が暑くなると熱が逃げにくいということでもあります。
日中暑いのはもちろんのこと、日が暮れても熱が逃げずに暑いという状況が続きやすいので、この夏の日差しには要注意です!
最後に
夏は、お外をお散歩するわんちゃんだけではなく、意外とねこちゃんの熱中症疑いも病院にやってきます。
最近は、対策してくださる方が多いのでわんちゃんの熱中症は昔と比べ減ってきていますが、お家にいるねこちゃんも意外と危険なので気をつけてくださいね。
明日は、今日書いた危険を踏まえた対策のことを書きたいと思います。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ