獣医さんのコラム(165)獣医さんが解説する秋の味覚の中毒情報

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する秋の味覚の中毒情報

  ぶどう

  銀杏

  ・お散歩中の拾い食いに注意なもの

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

昨日は涼しくなってきた時に注意したいことをまとめましたが、本日はその中で少し触れた秋の食材や植物などの中毒の話を深掘りしたいと思います。

特に甘くて美味しいあのフルーツに注意してください。。

獣医さんが解説する秋の味覚の中毒情報

ぶどう

わんちゃんは甘い果物が大好きです。

もちろん、ぶどうも例外ではありません汗

うちの実家でも、おばあちゃんがついついねだられてぶどうをあげている現場に遭遇したことがありますが、ねだられてついつい与えてしまう危険な秋の味覚がぶどうです。

ぶどうは軽度の場合、数時間で下痢や嘔吐、元気食欲の低下がおこします。

さらに、重度だと半日〜1日で急性腎不全を発症し、おしっこが出なくなってさらに身体の状態が悪化します。

中毒量は、

軽度中毒で、体重1kgあたり3〜10g

急性腎不全の発症の推定量は体重1kgあたり19.6gと言われています。

レーズンだとさらに濃縮されているため、体重1kgあたり2.8gで腎不全になると推定されています。

ちなみに、ぶどうは品種によって小粒のデラウェアだと1粒1.5g程度、巨峰やシャインマスカットだと1粒約10g程度なので、

5kgのわんちゃんで巨峰やシャインマスカットを1.5粒〜5粒程度食べると軽度中毒、約10粒食べると急性腎不全を起こす可能性があります。

ただし、注意したいのが、ぶどうの中の中毒成分は酒石酸カリウムやぶどうの皮や実の代謝物ではないかと指摘されているものの、まだはっきりわかっていません。

そのため中毒量の目安はあるものの、かなり少量でも発症したケースや大量に摂取しても急性腎不全を発症しなかったなど個体差があります。

個体差はあれど、急性腎不全を発症したわんちゃんの生存率が53%だったという報告もあるので、ぶどう関連は口にさせないように注意してください。

補足として、

ねこちゃんに関してなのですが、ねこちゃんの中毒量ははっきりわかっていません。

ただし、腎不全を起こしたという報告が少数ながらあるので、ねこちゃんにも中毒性があると考えられています。(ねこちゃんは好んでぶどうを食べないので症例数が少ないというのが関係しているようですが、ぶどう入のヨーグルトなどでの事故例があるので注意)

わんちゃん同様に、絶対に与えないようにしてくださいね。

銀杏

銀杏は秋の味覚であり、道に落ちていて臭い思いをするのも秋の風物詩だと思います。

この銀杏にも実は中毒性があります。

まずは、人が食べる銀杏(道に落ちている臭い実の中の種を割って中の胚を食べています)なのですが、

銀杏にはギンコトキシンという成分が含まれており、この成分はビタミンのB6の働きを阻害することで神経系の伝達に影響を与え、痙攣や過興奮、嘔吐、不整脈、呼吸困難などの症状を出します。

中毒量に関してははっきりしていませんが、銀杏中毒を疑う症例が報告されています。

目安として、小型犬で数粒と言われることもありますがはっきりとした根拠がないので、銀杏の誤食を疑った場合は必ず動物病院を受診してくださいね。(人の報告で成人が10粒銀杏を食べて急性中毒を起こしたという報告もあるので体重から推定して計算しているのかもしれません)

ちなみに、ねこちゃんはわんちゃんよりビタミンB6の障害に過敏に反応する動物なのでさらに注意が必要だと考えられています。

もうひとつ、銀杏の実(道で悪臭を漂わせているやつです)に関しても注意してほしいことがあります。

銀杏の実に関しては、わんちゃんがお散歩中に臭ったり、踏んだりすることで接触性の皮膚炎を起こす可能性があります。

これは人でも共通なのですが、銀杏の果肉には漆の中のウルシオールに似たギンコール酸が含まれていて、強い皮膚刺激や炎症を引き起こします。

ちなみに、乾いていても刺激性があるので秋に口周りや足の裏が赤く痒くなる子は、お散歩コースに銀杏がないかをチェックしてみるといいかもしれません。

お散歩中の拾い食いに注意なもの

お家の中にありそうな中毒性の食べ物以外にも、秋の散歩道で遭遇しそうなものも書いておきたいと思います。

まずは、きのこ類です。

きのこ類は、下痢や嘔吐などの消化器症状を起こすものが多いですが、中には肝障害や神経症状が出るものもあるので誤食に注意してください。

どんぐりも実にも中毒性があります。

どんぐりに含まれるタンニンは胃腸に対する刺激性があり嘔吐や下痢を引き起こしたり、大量に摂取すると肝不全や腎不全を引き起こします。

数粒程度の摂取で嘔吐、下痢などを起こす可能性があり、小型のわんちゃんだと中毒以外にも腸閉塞の原因になるので注意してください。

最後に

今回は、秋というテーマで食べて危ないものの情報を整理してみました!
中毒に気をつけつつ秋を楽しみましょうね。

ちなみに、ぶどうを食べた実家のわんちゃんは無事でしたが、高齢の祖母には何度言ってもなかなか危険性が伝わってないので皆さんもご注意くださいね。。。(言うたびにそうなの?と言われます汗汗)

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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