獣医さんのコラム(186)獣医さんが解説する若くして失明する遺伝病PRAとは?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する若くして失明する遺伝病PRAとは?

  正式名称は?

  症状と遺伝子の話

  治療の話

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

今日は以前に書いた突然失明してしまう病気からはもれてしまったけど、失明で有名なPRAという病気について書いてみたいと思います。

子犬さんがはじめて病院に来たときに、このPRAの遺伝子検査の結果を持って来られることも多いので、このコラムを読まれている方の中にはお迎えするときにもらっている方がいらっしゃるかもしれません。

獣医さんが解説する若くして失明する遺伝病PRAとは?

正式名称は?

通称PRAと呼ばれているこの病気の正式名称は『進行性網膜萎縮症(Progressive retinal atrophy:PRA)』といいます。

動物さんの病気は数あれど、遺伝性が疑わしくても遺伝子まで特定されていて遺伝性の病気であることを証明できているものは多くありません。

このPRAという病気は数少ない遺伝子が解析されていて、遺伝子検査もできるという病気の一つです。

そのため、子犬さんをお迎えしたときに遺伝子検査をしてもらっていることがあったりもします。

今日はそんなPRAを解説したいと思います。

症状と遺伝子の話

遺伝子が解析されている病気と説明しましたが、実は1つの遺伝子だけではなく色々な遺伝子が見つかっていて、その数20種類以上と言われています。

そのそれぞれで、同じPRAという病気を起こしますが、違った症状の出方をすることがわかっています。

細かい病型によって色々と違うことはあるものの、基本的な症状は網膜が変性することによる両眼の失明です。

ただ、この失明の仕方に特徴があって、はじめに暗いところで働く視細胞(杆体)から変性して、徐々に明るいところで働く視細胞(錐体)に広がっていきます。

なので、初期症状は暗いところで目が見えなくなる夜盲という症状で、その後進行し完全な失明に至ります。

ちなみに、1番多いとされている型はPRCDという遺伝子が原因となっているPRAで広く世界中のわんちゃんで確認されています。

この型は遅延型というタイプで、3~5歳ぐらに発症し数年かけて進行し完全失明に至ると言われています。

その他にも、別の遺伝子で起こるPRAには、早期発症型(生まれたて〜子犬期に発症するタイプ)するものや若年齢発症型(成犬になるまでには変性が始まるタイプ)もあります。

治療の話

今の所、多くのわんちゃんで確認されている遺伝型に対する治療方法は残念ながらありません。

ただ、遺伝子治療が奏功する型も報告されています。

ちなみにその型とはブリアードという犬種で起こるRPE65欠損型のPRAで、運び屋になるウイルスにRPE65遺伝子をのせて網膜下に注入するという方法で治療が行われ、23/26眼で成功したという結果を残しており、この治療の成功を元に人のRPE65変異に対する遺伝子治療が確立されています。

他の型に関しては将来に期待したいところですが、今現在は失った視覚に合わせて生活をサポートしてもらうことと、PRAを発症したわんちゃんはブリーディングはしないということをお話ししています。

最後に

補足として、たまに進行予防などを聞かれることがあるのですが、これも今のところ確実に進行予防に効果があると証明できた成分はありません。

遺伝性の疾患なので難しいかもしれませんが、何か今後良い成分が見つかることを期待したいところです。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

当サービスのご利用にあたって

オンライン相談では、

診断をつけたり、

お薬を処方することは

できません。

動物たちのより良い生活や

より良い医療のための

サービスであることを

ご理解ください。

サービスのご案内 service
獣医師紹介 doctor
サービスのご案内 service
獣医師紹介 doctor