
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
感染症って実はややこしくて、別の種には伝染しないものもありますが、みんな共通して感染するものから、人と犬、人と猫の間だけでかかるものまで本当に色々あります。
今日は、身近なペットから移る病気って?というところに注目して書いてみたいと思います。
獣医さんが解説する人とペットの間で移る病気!

人・犬・猫がみんなかかる病気
わんちゃんもしくはねこちゃんだけと一緒に暮らしている方も多いですが、意外とわんちゃんもねこちゃんも両方ともいるお家も多いですよね。
わんちゃんもねこちゃんもいるお家では、わんちゃんをきっかけにお家の中に病気が入ってきてみんなに移るパターンもありますし、ねこちゃんがきっかけになることもあります。
初めにそんな、人にもわんちゃんにもねこちゃんにも移る病気をあげたいと思います。
①皮膚糸状菌症
わんちゃんでもよく診ますが、ねこちゃんにも親和性が高いのがこの皮膚糸状菌症です。
人にも知らぬ間に移ることが多いので要注意な病気です。
典型的な症状は、皮膚の白っぽいサークル状の輪状皮膚炎です。
わんちゃんや人はこのパターンの病変が出ることが多いですが、猫ちゃんの場合は粟粒性皮膚炎といってブツブツが出ることも多いです。
動物さんの場合は、あまり痒みが強くなく、気付かないうちに人に移すこともよくあります。
カビが原因で起こる皮膚炎なので、抗真菌薬という薬で治療しますが、再発しやすく(ねこちゃんは特に)治りにくいという特徴があります。
②ノミ
日本でわんちゃんやねこちゃんにかかるのはネコノミと言われている種類です。
感染するのは犬、猫なのですが、人間にも噛みつきます。
わんちゃんやねこちゃんも最近痒がっていて、自分も寝ているとなんだか痒いし、発疹ができているという場合はノミかもしれません。
ノミは一度お家の中に入ると、目に見える成虫の何倍も卵や幼虫、蛹がお部屋に隠れていて駆除するのが大変な害虫です。
冬でも暖かい室内では生き残ってしまうので必ず予防薬をつけてくださいね。
よく病院でも相談されたり、聞く病気を2つ選んでみました。
ノミは身近な感じがあるかと思うのですが、皮膚糸状菌症も意外とありますので注意してくださいね。
人・犬がかかる病気
人とわんちゃんで共通してかかるのが、レプトスピラ症という病気です。
これはレプトスピラ属という細菌の感染で起こる病気で250以上の血清型があります。
その中でも、L. icterohaemorrhagiae(黄疸出血型)とL. canicola(カニコーラ)は人にも犬にも共通して感染します。
L. icterohaemorrhagiae(黄疸出血型)は肝障害や出血を起こす重症型でわんちゃんがかかると亡くなってしまうケースが多いですし、人でも重症化しやすい危険な型です。
L. canicola(カニコーラ)も腎障害を起こし亡くなることがあります。
さらに怖いのが、レプトスピラ症は感染したネズミや野生動物の尿で汚染された水(川や水たまりなど)が感染源になりますが、この汚染されたお水が口に入ることだけが感染経路というわけではなく、手や足をつけているだけで経皮的にも感染します。
つまり、わんちゃんはより感染しやすく、感染したわんちゃんからおしっこを介して人に移す可能性のある病気とも言えます。
そこで、自然の多い場所などに行く機会があるわんちゃんには、7種以上の混合ワクチンを打っておくことをおすすめしていますので、ワクチンを打つ際にはこの病気も気にしてもらえたらと思います。
人・猫がかかる病気
上の2つとはちょっと違って、人も猫もというよりねこちゃんから人に感染するという意味合いが強い病気をご紹介したいと思います。
正確にいうとねこちゃんは無症状で、人に感染すると症状が出る病気です。
その病気とは『猫ひっかき病』です。
ねこちゃんにひっかかれてしまうことってありますよね。
特に爪が伸びた子を抱っこすると爪が刺さってしまうということもよくあります。
でも、ねこちゃんがノミなどを介してバルトネラという細菌に感染していると、ねこちゃんから伝染してしまい、引っ掻かれた場所が赤くなってしまったり、リンパ節が腫れたり、発熱したりといった症状が出ます。
基本的には数週間程度で自然治癒すると言われていますが、腫れたリンパ節に痛みが出たりと割と強い症状が出る怖い病気なので知っておいてもらえたらと思います。
ちなみに、ノミを介して伝染するのでノミ予防をしっかりしておいてもらうと防げる病気なので、ねこちゃんにもぜひ予防薬をつけてもらえたらと思います。
最後に
わんちゃんやねこちゃんの予防には、人への伝染といった面も強く影響して考えられていることが多いです。
それだけ人の身近にいる動物ということでもあります。
特に、子どもさんや高齢の方、病気の治療中の方がいるご家庭では十分に予防して、ペットさんと一緒に時間を過ごしていただけたらと思います。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ