獣医さんのコラム(285)獣医さんが解説する多飲多尿になる病気(内分泌疾患編)

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する多飲多尿になる病気(内分泌疾患編)

  内分泌疾患ってそもそも何?柴犬

  糖尿病

  クッシング症候群

  アジソン病

  ・甲状腺機能亢進症

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

今回は、病院でよく問題になる症状についての話をしたいと思います。

痛みや吐き気といった目にみえて具合が悪くなる症状はある意味わかりやすいのですが、今日のテーマである「多飲多尿」は異常だと認識されにくいけれど、重要な症状の一つです。

多飲多尿を示す病気は多岐にわたるので、今日は内分泌編として、内分泌って何という話を含めて書いてみたいと思います。

獣医さんが解説する多飲多尿になる病気(内分泌疾患編)

内分泌疾患ってそもそも何?

内分泌疾患とはよく使う言葉ですが、じゃあどういう意味?となるとわかりにくい言葉でもあるかなと思います。

意味としては、体の中でホルモンを分泌する臓器(内分泌腺)の異常によって起こる病気のことをさしています。

ホルモンとは内分泌腺や内分泌細胞から分泌され、血液を介して標的細胞に作用して、生体機能を調節する化学物質のことで、よく聞くもので言うと、インスリン、コルチゾール、アドレナリン、アルドステロン、TSH、P TH、ACTH、カルシトニン、プロラクチン、エストロゲン、テストステロンなどは全てホルモンです。

そして、ホルモンは増えたり、減ったりすることで多飲多尿を起こしやすい物質でもあります。

多飲多尿になる理由はそのホルモンによって様々ですが、多くは「尿を濃縮できなくなること」や「尿中に浸透圧物質(糖)が増えることで水が引き込まれる」ことで起こることが多いです。

今回は、犬・猫で多飲多尿が起こる内分泌の病気をご紹介したいと思います。

糖尿病

人間でも多い病気ですが、犬、猫でも比較的多い病気の一つです。

インスリンという血糖値を下げる作用のあるホルモンの分泌量が減ったり、効きが悪くなることで血糖値が上がってしまう病気です。

血糖値が上がるということは、血液の中に糖が増えている状態なので、濃くなった分を薄めようという方向に生体機能が動き、体の中に保持されている水分が血管の中に移動してきます。

その結果、その水分は尿として排出され、無くなった水分を補うためにお水を飲むという多飲多尿の症状が出ます。

クッシング症候群

クッシング症候群は、副腎というホルモンを産生する臓器がコルチゾールと呼ばれる内因性のステロイドホルモンを多量に分泌してしまうことで起こる病気です。

このステロイドは、抗利尿ホルモンという体の中に水分を貯めておく作用のあるホルモンの働きを邪魔し、結果として、おしっこに水分が出過ぎてしまい多尿となり、それを補おうとお水をよく飲むという症状が出ます。

ちなみに、病院で処方しているステロイドも同じ効果があるので、ステロイドを内服すると量によって程度が変わるものの多飲多尿の症状が出ます。

アジソン病

クッシング症候群は副腎でステロイドを過剰に作ってしまう病気でしたが、アジソン病は逆にステロイドホルモンが作れなくなる病気です。

であれば、クッシング症候群と反対にお水を飲まなくなるようになるんじゃ?と思うかもしれませんが、アジソン病ではクッシング症候群で過剰に作られるコルチゾールというステロイドが減るのと同時に、アルドステロンというステロイドも減ります。

このアルドステロンが体に水分を保持するのに重要な役割を果たしているホルモンなのです。

少し難しい理論で言うと、アルドステロンは腎臓でナトリウムを再吸収して貯める働きをします。

ナトリウムとお水は身体の中で一緒に動くので、ナトリウムを再吸収できないということはお水が一緒に出ていくということと同じです。

また、腎臓ではアルドステロンによって保持されたナトリウムを利用して水分を再吸収する場所(集合管)があり、そこに抗利尿ホルモンが作用することでお水を再吸収しています。

ナトリウムが出ていってしまうと、抗利尿ホルモンが充分に作用を発揮できず水を再吸収できなくなる、つまり尿として出ていってしまうことになるのです。

お水が出ていくと、その分を補うために多飲になるというわけです。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は主にねこちゃんで多い病気で、この病気も多飲多尿を示す病気です。

甲状腺ホルモンは、一言でいうと身体を働かせるホルモンです。

そのホルモンが増えるということは血流も活発になり、腎臓に流れる血液量も増えることになります。

腎臓は血液から尿を作っているので、材料が増えると尿として排出する量も増え、さらに腎臓という排出工場が過活動になることで、次から次へと尿が作られ、結果、それぞれの尿から再吸収する水分の量が減ってしまうと言われています。

そして、出ていく分、飲水量も増えることになるのです。

最後に

多飲多尿と言葉上は言いますが、こうやって一つ一つの原理から言うと、多尿多飲という方が正しいのかもしれませんね。

明日は、内分泌疾患以外でこの症状を示す病気をご紹介しようと思っています。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

当サービスのご利用にあたって

オンライン相談では、

診断をつけたり、

お薬を処方することは

できません。

動物たちのより良い生活や

より良い医療のための

サービスであることを

ご理解ください。

サービスのご案内 service
獣医師紹介 doctor
サービスのご案内 service
獣医師紹介 doctor