
もくじ
1. ごあいさつ
・胆嚢破裂
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
病院に行って、緊急で手術した方がいいと言われたらみなさんどうしますか?
ほとんどの方は、そのまま手術を受けられると思うのですが、えっ!?ホントに!?と思う方もいるのではないかと思います。
でも、実際になるべく早く手術した方がいい病気があるので今日はそんな病気をご紹介したいと思います。
獣医さんが解説する緊急手術になる病気3選

子宮蓄膿症
すごく有名で多い病気ですが、実際に診断してすぐに手術と言うとびっくりされる病気でもあります。
子宮蓄膿症はその名の通り、子宮の中で感染を起こして膿が溜まってしまう病気です。
避妊手術を受けていないメスのわんちゃんが中年〜高齢でなることが多い病気ですが、過去に3歳で発症して手術したわんちゃんもいるので若くても起こる可能性があります。
ちなみに、ねこちゃんでも頻度は低いですが起こります。
症状は、食欲の低下、水をよく飲む、おりものがつくなどが1番多いです。
自然治癒は難しく、ほっておくと敗血症になって命を落とす怖い病気です。
お腹の中に感染がある状態なので、手術が難しい場合以外は基本的になるべく早く外科的に摘出することが第一選択になります。
内科的に治療してみて、ダメなら手術というパターンもあるのですが、下手をすると身体の状態を悪化させてしまった上での手術になってしまうので、やっぱりなるべく状態がいい内に摘出がベターかなと思います。
胆嚢破裂
これは胆嚢に持病がある高齢期のわんちゃんで起こる病気です。
胆嚢粘液嚢腫という病気が基礎疾患としてあって、胆嚢が破れてしまうという流れが非常に多いです。
基本的には、胆嚢が破れてしまったら胆管の状態を確認しつつ胆嚢摘出という手術をします。
状態によっては内科的な治療で持ち直すこともあるのですが、基本的に再発することが多く、
過去に内科的に散らしてしまっていると、臓器が炎症で癒着してしまっているのでさらに手術が大変になることが多いです。
命を落としているわんちゃんも多いとても怖い病気なので、胆嚢粘液嚢腫がわかった時点で予防的に胆嚢を摘出するということもよくあります。
椎間板ヘルニア グレード5
椎間板ヘルニア自体はわんちゃんの腰痛といえばよく出てくる病気ですが、実はグレードといって病気の深刻度が分かれています。
よくある腰痛は基本的にグレード1~2に相当します。
椎間板ヘルニアは神経の病気なのでグレード3以降になると、逆に痛みではなく麻痺になってきます。
麻痺になっていてもグレード3程度であれば、内科治療でかなりよくなることもありますが、グレード5になってしまうとなるべく早く手術をして神経を圧迫している椎間板物質を取り除く必要があります。
ちなみに、腰が抜けた状態でも後ろ足を動かせていたらグレード3、動かせなくなっていたらグレード4、さらに深部痛覚という痛覚がなくなっていたらグレード5です。
グレード3と4はわかりやすいですが、グレード4と5の違いは獣医さんに判断してもらう必要があります。
椎間板ヘルニア疑いでグレードが高いという判断がされた場合は、MRIなどの検査をして椎間板物質が飛び出ている場所があるかを見た上で手術になると思ってください。
最後に
私も、前職で開業したての頃は手術が必要だと言っても信じてもらえなかったことが何件かあります。
当時、若手&女性獣医というのがダメだったのかなと落ち込んだ記憶があります。
実際に即手術!という病気も多々あるので知っておいてもらえたらと思います。
ただ確かに、手術と言われたけど別の選択肢もあったという病気もあるので、迷ったらぜひTalkvetsに相談してくださいね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ