獣医さんのコラム(316)獣医さんが解説する感染にとにかく弱くなる病気3選

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する感染にとにかく弱くなる病気3選

  感染ってなぜ成立する?

  クッシング症候群

  糖尿病

  腫瘍性病変

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

コラムのお休みをいただきましてありがとうございました。

本日から元のスケジュールに戻りますので、また読んでいただけたらと思います!

さて、今日は感染の話をしたいと思います。

実は正常な状態であれば意外と感染は成立しません。

ということは、感染しやすい状態もあるということでもあります。

感染が成立する話やそんな感染しやすい病気についても解説したいと思います。

獣医さんが解説する感染にとにかく弱くなる病気3選

感染ってなぜ成立する?

一般的には傷ができると感染するというイメージがあるかもしれませんが、実はそういうわけではないというのはご存知でしょうか?

もちろん、傷があるとそこで炎症が起こるので感染しやすくなるというのは間違いないのですが、とはいえ必ず感染が成立するかは別問題です。

一番大切なのは、免疫です。

実は、小さくて見えないだけで皮膚にも環境にも常に無数の細菌やカビがいます。

その細菌やカビにさらされていても、感染が成立しないのは皮膚免疫があり、細菌やカビを適切に排除しているからです。

では、逆に感染が成立するときはというと、炎症が起こっていたり、細菌やカビが増殖していたり、皮膚のバリアが喪失していたり、免疫が十分に働かなかったり、感染する側に有利な環境が整ったときなのです。

それは、皮膚以外でも同様です。

今日は、その中でも体が感染に不利な状況に陥る病気を3つ、取り上げたいと思います。

クッシング症候群

まず一つ目が、クッシング症候群です。

獣医療でも人医療でも、免疫を抑制したり、調整したりするために、「ステロイド薬」という薬を使うことがあります。

このステロイドという成分は実は動物や人の体の中で作られている成分で、それと同様の成分を薬として使っています。

クッシング症候群は、このステロイドが体の中で作られすぎてしまう病気なので、この病気を発症するとステロイド薬を内服しているときと同じように、免疫が抑制されたり、多飲多尿になったり、筋肉が薄くなったりという症状が出ます。

なので、この病気を持っていると(特に治療していないと)、身体の中で通常は起こりづらいような感染が起こったりします。


糖尿病

クッシング症候群に勝るほど感染に弱くなる病気といえば糖尿病です。

糖尿病によって身体の組織全体の糖濃度が上がり、細菌のエサが多い状態になります。

そのため細菌が活発化しやすいというのに加え、高血糖が続くことで免疫細胞の働きは低下することもわかっており、さらに免疫細胞が活動するために重要な血管網を障害し、感染部位への細胞の遊走を邪魔することもわかっています。

つまり、病原体を活性化し、それと戦う細胞を弱体化させる身体の環境を作りだしているということなのです。

もちろん、糖尿病と診断されると、インスリン投与で血糖値はある程度コントロールしますが、人工的に低血糖状態に陥らせないように、基本的には普通の子より高い血糖値で維持することになるので、常に感染に弱い状態に陥っているというふうに思っていただけたらと思います。


腫瘍性病変

そしてもう一つ、免疫を狂わせるものが腫瘍性病変です。

わんちゃん、ねこちゃんでは、気づかないうちに身体の中で腫瘍ができているということがよくあります。

その一つのサインとして、急に皮膚炎が起こったり、目に炎症が起こったりと普段起こらないような症状が出てくることがあります。

これは、腫瘍性病変が身体の免疫を狂わせていることも大きな原因の一つになっています。

というのも、そもそも腫瘍性病変とは突然変異してしまった細胞が増殖する病気です。

この突然変異した細胞というのは、実は毎日毎日何個何個も作られているのですが、通常は身体の免疫細胞によって除去され増殖しないように管理されています。

つまり、その中を掻い潜った細胞が腫瘍になるというわけです。

それだけに、腫瘍細胞には免疫応答から逃れ、妨害する性質を持ち、宿主の免疫を狂わせていくのです。

さらに、腫瘍が育っていくと、免疫を維持していくのに必要なエネルギーやアミノ酸も奪い、慢性炎症を起こし免疫細胞を消耗させるという悪状況も作りだします。

最後に

動物病院ではよく抗生物質を使いますが、動物さんの場合は人間のように傷を清潔に保つことで、細菌の数を制御し、感染しづらい状況をつくるのが難しいことがあるからという事情もあったりします。

特に今日紹介したような病気を患っている子は注意が必要と覚えておいていただけたらと思います。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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