もくじ
1. ごあいさつ
2.獣医さんが解説するアレルギーと食事の関係性
3.最後に
ごあいさつ
こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
本日は赤み痒みシリーズの治療編のひとつ、お食事のことについてをまとめてみたいと
思います。
ちょっと難しい内容もあるかもしれませんが、お付き合いいただければと思います。
獣医さんが解説するアレルギーと食事の関係性
アレルギーを疑うと、大抵アレルギー食を一度試してみるという話になります。
アレルギー=食事というイメージは多くの方がお持ちだと思います。
本日は、アレルギー食ってじゃあ一体なんなの?ということをテーマにしていきたいと思います。
・アレルギー食ってなあに?
アレルギー食は、基本的にアレルギー用にタンパク質を工夫したお食事と考えてOKです。
実は、食物アレルギーは食物の中のタンパク質に反応して起きています。
このタンパク質をなんとかすることで、アレルギー反応を起こしづらく設計されているのがアレルギー食です。
ちなみに、2つの系統があって
①新奇タンパク食
アレルギーは幼少期に食べたもので獲得しているので
今まで一度も食べたことのないタンパク質からできたごはんであればアレルギー反応を起こさないということをコンセプトにしたごはんです。
②タンパク分解食
タンパク質がアレルギー反応を起こすなら、タンパク質を小さく分解して反応が出ないようにしようというコンセプトで作られているごはんです。
この2つのごはんを使い分けてアレルギーの治療にあたるのですが、実はアレルギーの型によって使えるごはんがかわってきます。
・食べた後に急に症状出るアレルギーの場合
何かを食べて急に痒くなったり、顔が腫れたりするのは、Ⅰ型アレルギーというアレルギーが原因です。
このアレルギーを中心に考える場合は、理論上、新奇タンパク食とタンパク分解食の両方が使えます。
タンパク質をある程度分解していくと、アレルゲンが小さすぎてⅠ型アレルギーの反応が出なくなると考えられているからです。
ただし、実は、人間と違って食べ物で急に顔が腫れたり痒くなったりはそんなに多くないので
実際にはⅠ型アレルギーを抑えるために食事を選ぶ機会はそう多くはないです。
・食べてゆっくり痒みがでるアレルギーの場合
食物アレルギーといえば、このゆっくり痒みが出るパターンのⅣ型アレルギーを中心に考えることが多いです。
このアレルギーの場合は、タンパク質を分解しても、アミノ酸レベルまで分解していないとアレルギーの経路を止められないと考えられています。
なので、タンパク分解して少し小さくなっているだけだと不十分です。
新奇タンパク食を中心に使っていくことが多いと思います。
ただ、新奇タンパク食といっても、珍しいタンパク質も使っているけど一緒にチキンなどのよくある食材が入っているものも多いので、使う時はパッケージの裏の成分表をしっかりみる必要があります。
ちなみに、パピーの頃の一般的な食事はチキンなどお肉を食べていることが多いので、私はタラのごはんをよく使っていました。
アレルギー検査(リンパ球反応試験)をしている方は、その結果をもとに選んでいましたが、アレルギー検査を希望されない場合は確率論的に使えるお食事だと思います。
・手作りやトッピングをする場合の注意点
手作り食を考えていらっしゃる方や、アレルギーだけどトッピングがないと食べられないわんちゃんもいると思います。
食物アレルギーの考え方でいうと、タンパク質がアレルゲンになっているので、できるだけ使っているタンパク質の種類を減らしてもらった方がアレルギーに引っかかりづらいです。
毎日同じだと…と思われる場合は、まずは少ない食材(トッピングの場合単一の食材)からはじめて
痒みが出ないことが確認できたら、もう1つ食材を加えて一定の期間観察するというやり方をしていただけるといいと思います。
注意点は、痒みが出た時に原因の食材を特定できるようにしておくことです。
最後に
本日は、アレルギーのお食事について解説してみました。
美味しいもの/食べたがるものとアレルギーを起こさないものは違うので、食物アレルギーの子はかわいそうだと思います。
でも、粘り強く食べれるものを探せるとお薬の量や痒みを減らしていけると思います!
参考になったら幸いです。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!
執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ