獣医さんのコラム(60)獣医さんが解説する知っているようで知らない猫の予防の話①(猫のワクチン編)

もくじ

1. ごあいさつ

2.猫ちゃんのワクチン予防について説明してみよう

何を予防しているの

お家から出ないけど必要?

ただし注意が必要なことあり!

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

先日からわんちゃんの予防について取り上げてきましたが、混合ワクチン、狂犬病予防、フィラリア予防、ノミダニ予防とひと段落したので、次は猫ちゃんの予防についておおくりしようと思います。

実は、猫ちゃんの予防にもフィラリアが関連しているので3月〜は予防の季節でもあります。

今日はまずは、ワクチン予防のお話をしてみようと思います。

猫ちゃんのワクチン予防について説明してみよう

・何を予防しているの?

基本となるのは、猫ヘルペスウイルス感染症、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の3つを予防する3種のワクチンになります。

この3種のワクチンをコアワクチンとよんでいます。

さらに、この3つに加えて猫白血病や猫クラミジア感染症という病気を予防するワクチンもあります。

以前は、猫エイズを予防するワクチンもあったのですが、ワクチンを打つと普通の検査でエイズ陽性が出てしまうなど色々と不便なことがあり、今は廃盤になってしまいました。

お家から出ないけど必要?

昔は、猫ちゃんといえばお外とお家を自由に行き来している子も多かったですが、最近はお家の中だけで生活することが主流になってきました。

病気の面では、お家の中で生活してもらうのはとてもいいことです。

だからこそなのか、子どもの時に打って以来ワクチンを打っていない子にもよく会います。

もちろん任意の予防なので必ず打たないといけないものではないですが、基本となる3種のワクチンの中に入っている猫ヘルペスウイルス感染症、猫カリシウイルス感染症は猫のカゼを起こす病気で飛沫感染を起こします。

ワクチンを打っていないと抗体を持っていない状態であり、さらにそういう子が病院に来院する時は具合が悪くて免疫が下がっている状態なので、院内感染して重症化しまう可能性があります。

ワクチンは、具合が悪くなってから積極的に打つものではないので、できれば具合が悪くなるまでにしっかり打っておいてもらって、何か病気になった時に抗体価を持った状態でいてほしいなと思っています。

・ただし注意が必要なことあり!

ただし、猫ちゃんのワクチン予防には注意しないといけないことがあります。

それは注射部位肉腫という病気です。

猫ちゃんは、注射を打つことで腫瘍化するケースが報告されています。

ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあり、この不活化ワクチンは接種することで注射部位肉腫を発症する危険性が特に指摘されています。

ちなみに、3種のワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンの2つが発売されているので、不活化ワクチンは避けてもらったほうがいいのではないかと考えています。

あとは、その他の病気のワクチンについてなのですが、

実は、猫白血病という病気は致死的な病気なので予防できるのであればワクチンを打っておいた方がいいのではという意見もあります。

ただ、猫白血病のワクチンは不活化ワクチンなので、家から出ない猫ちゃんに関しては、注射部位肉腫の発生確率と白血病の感染機会が乏しいことを鑑みて3種のワクチンを選択しています。

最後に

猫ちゃんのワクチンに関しては、その子の生活環境や周囲の白血病の流行などによって方針が違う場合もあると思いますが、今回は基本的な考え方を解説してみました。

猫ちゃんでも抗体価測定を取り入れる機会も増えてきたので、またそのあたりの話も別の機会にまとめてみたいと思っています。

明日も、猫ちゃんの予防の続きをおおくりしようと思います。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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