獣医さんのコラム(7)わんこの整腸剤のススメ 後編

もくじ

1. ごあいさつ

2. 整腸剤の代表選手たちのご紹介

ビオフェルミン製剤

ミヤBM

ビオイムバスター

マイトマックススーパー

3. 最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

長々と続いていたお腹シリーズもいよいよ本当に最後のコラムをおおくりしようと思います。

今日は、整腸剤の中で動物病院でよく使われている代表選手を解説しようかなと思います。

たかが整腸剤というなかれ、整腸剤にも色々あるんだなぁと思っていただければ幸いです。

整腸剤の代表選手たちのご紹介

・ビオフェルミン製剤

実は、市販薬と医薬品(病院で処方される薬)には同じビオフェルミンでも少し違いがあります。

医薬品の方はビフィズス菌しか配合されておらず、その分含有量が多いですが、市販薬にはフェーカリス菌、アシドフィルス菌など他の菌が含まれる分、ビフィズス菌の量は少なめです。

おそらく、ビフィズス菌が主に大腸に効くのに対して、他の菌は小腸に効くので、市販薬の方が幅広くマイルドに効く仕様になっているのかなと思います。

ビオフェルミンRは抗生剤と一緒に使っても大丈夫(耐性のある)な乳酸菌ですが、実はどんな抗生剤にでも耐性があるわけではなく、ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸と一緒に使っても大丈夫なお薬です。

・ミヤBM

人の腸内細菌から見つかった酪酸菌である宮入菌を使用した整腸剤です。

酪酸菌は大腸で増殖して酪酸をつくります。

酪酸は腸管粘膜のエネルギー源として利用されて、水分の吸収促進や抗炎症作用などがあることが報告されており、腸内を弱酸性にすることで悪玉菌の増殖を防ぐ作用もあります。

また外側に芽胞という殻を持つことで胃酸に耐性があって腸まで届き、抗生剤にも耐性があるという高機能な菌で、動物病院でも好んで使われています。

市販薬は強ミヤリサンという名前で販売されています。

・ビオイムバスター錠

動物用として病院でポピュラーな薬です。

胃酸に対して耐性がある有胞子乳酸菌を使っていて、腸管への高い定着増殖率と、パンクレアチンという消化酵素を配合しているので消化の補助も同時に期待できる製品です。

ただし、豚由来のパンクレアチン、魚由来のペプチド、牛乳由来の乳糖水和物およびペプトンを使用しているので、豚アレルギー、魚アレルギー、牛乳アレルギーがある場合は、アレルギー症状に注意が必要です。

同じメーカーのディアバスターという下痢止めと一緒に使われることがよくありますが、抗生剤と一緒に使うと効果が減弱するので注意が必要です。

・マイトマックススーパー

動物用の薬で、採用している動物病院も多いと思います。

温度や酸素、酸性環境に耐性があるペディオコッカス菌という乳酸菌を使っていて、胃酸の影響を受けず、生きたまま腸に届き、抗生物質と併用しても生存可能です。

ラクトースや善玉菌のエサになるプレバイオティクスも一緒に配合されています。

ただし、ラクトースおよびカプセルに豚由来のゼラチンを使用しているので、牛乳アレルギーや豚肉アレルギーの子には注意が必要です。

最後に

最近、動物病院業界は腸内細菌ブームが到来していて、腸内細菌で体質分析をするようになったり、腸内細菌のセミナーが開かれたりと熱い分野です。

整腸剤は安全性が高いので、とりあえずと使われることもよくある薬ですが、このブームで使い方などが見直されていくのではないかと思います。

前編、後編とちょっと小難しい内容も多かったですが何かへぇーがあれば嬉しいです!

ではまた、次のコラムでお待ちしています。

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