
もくじ
1. ごあいさつ
2.いち女性獣医師の獣医師のキャリアに対する感想1(新人獣医師はやめどき!)
3.最後に
ごあいさつ
こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
本日は、箸休め的番外編第35弾をおおくりしたいと思います。
今回は、獣医学生の話が卒業あたりまできてひと段落したので、獣医師になってからのキャリア形成の話をしたいと思っています。
まずは、新人獣医師の話、なんだかやめる話になってしまって暗いことこの上ないですがしてみたいと思います。
違う職種の方が読んでも、共感いただけると良いのですが汗
ぜひ読んでみてください。
いち女性獣医師の獣医師のキャリアに対する感想1(新人獣医師のやめどき)
新卒の獣医師は早い人は3月の下旬から、それ以外の人は4/1から就職先に初出勤します。
そこから、まずは見習いとして先輩獣医師について動物看護師さんと同じように診察補助や検査などをしながら仕事を覚えていきます。
この期間は下積みだからつらいのかなと思いきや意外とやめる人は少ないです。
とはいえ、たまぁに2~3ヶ月で病院が合わなくてやめる人もいますが、どちらかというとすぐにやめてしまう子は男の子が多い印象がありますが、すぐ次の病院に再就職することが多いです。
そして下積みを経て、早い人だと夏ぐらい、大体の人は秋〜冬に診察デビューといって一人で診察に入り出します。
はじめはワクチンなどの予防からはじめて、だんだんと軽い症状の患者さんを診ていくようになります。
ちなみに、女性獣医師は大抵、はじめの方は動物看護師さんとの距離感や関係で悩むが多いのです汗
1番最初の下積みの期間は看護師さんのような仕事をするので看護師さんの下についておしえてもらったりします。
そこから、獣医師だけがするような業務を覚えていくのですが、動物さんは必ず保定といっておさえてもらう必要があるので、新人で時間がかかると忙しいのに看護師さんたちはその時間拘束されてどうしてイライラされがちです。
さらに、入りたては動物さんの状態や色々な診察の流れも看護師さんの方が詳しいですし、元々院内のことをおしえていた立場の人が何ヶ月か経つと指示をする立場になったりするという関係の変化があるので、うまく立ち回らないと看護師さんとの関係がぎくしゃくすることも多いです。
特に、看護師さんはほぼ女性なので、女性獣医師は同姓ならではの関係性の難しさがあります。(ちなみに、サッシの悪い男の子も危ないですが、それでも異姓の方が距離を取りやすいかも?)
私も新人の頃、先輩の先生の下に配属されていて、その先生の診察をみたり補助について仕事を覚えないといけなかったのですが、その先生と仲の良い看護師さんがいて難しいなと思ったことがあります。
専属で下についていると、どうしてもその先生の患者さんに詳しくなります。
看護師さんは他の仕事もあるので、自分の方が患者さんのことを知っていても言えなかったり、その看護師さんが補助についているときは、自分は他の仕事をするようにして診察に入らないようにしたりしていました汗
謎に怒られたり、看護師さんがちょっと違うことを言っていても指摘できなかったりはあるあるかもしれませんね(汗)
余談なんですが、獣医師として長く働くと実際に看護師さんの立場からしたら、時間は取られるし、下手くそだし、迷惑な存在だと思うので、その上で配慮した態度を取れなかったら怒り心頭なのもわかります(笑)
でも新人の頃にはそんな風に考える余裕もないというのもわかります(笑)
結局は、上の人間が軋轢がないように配慮するべきなのですが、なかなか忙しくて時間がない=放置してしまうということが多いです。
ただ、この関係性がうまくいかないと、結局、2年経たないぐらいで一人前になりきれないままやめる獣医さんが出てきます。
このときに、理由にされることが多いのが結婚や実家関係のことなどなどで、止めづらいことを持ち出してくる人が多い印象がありますが、この時にやめる人たちは2件目の病院に移って獣医さん自体は続ける人が多いので、病院にとっては損失ですが獣医さん全体で言えば移動しただけという感じです。
そして迎える2〜3年目、一通り仕事をしてみたという年数です。
看護師さんたちとの関係もそうですが、この頃になると先輩獣医師との関係も複雑になってくることがあります。
チェックが入ってなかなか自分の思う通りに診察できなかったり、すでに飼い主さんに話をしていたのに先輩獣医師の指導が入って別の話をしないといけなかったり…まぁ色々あります。。
あとは、今まで軽傷の子ばかりを担当していたのに、重症化して患者さんが亡くなったり、飼い主さんの対応が上手くいかなかったり、一生懸命考えているのに信頼してもらえなかったりという壁にぶつかり出すのもこの頃です。
結局のところは、診察にどれだけやりがいを感じられるかというところが根幹にあると思うのですが、それに加えて人間関係や拘束時間の長さ、他の同級生と自分を比較したりといった諸々がしんどくなってくる時期でもあります。
後は、獣医さんは6年制大学で、浪人して大学に入学している人も多いので、女性はとくにこの2〜3年目でちょうど年齢的な節目に近づいてなんとなく焦る時期と重なるというところもあるかもしれません。
今までの時期は、病院をやめても次の病院へ移るという話が大半でしたが、
このあたりで仕事にしっくりいっていない女の子たちは、次は病院をかえるのではなく公務員試験を受けたり(年齢制限があることが多い)、留学したり(自分探し?)、結婚して子どもを持ったりと別の道に離脱する波がきます。
希望に溢れた卒業から、2〜3年で!?と驚かれるかもしれませんが、離職率が高い職業なのでこんなものかなと思います。。
6年も大学に通って、国家試験もせっかく受かったのに…とどうしても思ってしまうのですが、鬱になったりする人も多い職業なので、無理してもな…とも思ったりします。
でもやっぱりもったいないですよね汗
最後に
時代がかわってきているとはいえ、やっぱり結婚・出産がある女性は不利な職業だなと思います。
小児科の先生なんかは、その経験が仕事に活きるということもあるかもしれないですが、獣医さんに関しては活きる面とマイナス面があるなと思っています。
そんな話もおいおいしていきたいなと思っています!
それではまた次回のコラムでお会いしましょう。

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ