獣医さんのコラム(325)獣医さんが解説する身近に潜む猫に本当に危険なもの3選

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する身近に潜む猫に本当に危険なもの3選

  ・猫は中毒に注意!

  ・カロナール/ロキソニンテープ

  ・育毛剤

  ・ティーツリーオイル

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

最近、わんちゃんについての記事が多かったように思うので久々にねこちゃんのことをピックアップしたいと思います。

ねこちゃんといえば中毒。今日はそんな話です。

獣医さんが解説する身近に潜む猫に本当に危険なもの3選

猫ちゃんは中毒に注意!

ねこちゃんといえば歳をとると腎不全を起こしやすいということで有名ですが、実は、中毒を起こしやすい動物としても有名です。

要因は色々あるのですが、なぜ中毒を起こしやすいかというと、

①肝臓での毒物代謝能が低い

人間や犬には肝臓で薬や化学物質を代謝するグルクロン酸抱合という経路を持っているのですが、猫はこの能力が著しく低いため、他の動物では問題ない成分でも中毒を起こすことがあります。

②体重が軽い

わんちゃんなどに比べ、体重が軽い子が多いので、誤食した量に比べ体重あたりの暴露量が多くなったしまいやすい。

③グルーミングなどの習性

グルーミングなどを習慣的に行うため、毛についた中毒物質を摂取しやすい。

他にも、「舐める」という行動が多い動物なので家の中にあるものが口に入りやすいです。

④腎臓の機能が弱い

年齢を重ねると腎臓の機能が落ちてくるため、腎負荷のかかる物質に基本的に弱いです。

そんな理由が積み重なって、猫で急性に何か起こると中毒を考えるというのが定石になっていると言えるかもしれません。

ただし、まさかと思うものが原因だと、飼い主さんに思い当たるものがないかを聞いても、なかなか原因がわからないこともあります。

今日は、そんな特に発覚しづらくて日常に隠れている危険なものを3つ紹介しておきたいと思います。

カロナール/ロキソニンテープ

カロナール(アセトアミノフェン)が危ないことは比較的、知名度があるかなと思いますが、猫は人間の解熱剤、特にアミノアセトフェンに強い中毒症状を出します。

アセトアミノフェンは少量でも、メトヘモグロビン血症という赤血球の異常を起こし、酸素を運べなくなることで、粘膜が青紫色になり呼吸困難を起こします。

ぐったりし、肝障害も起こし、かなり致死的な状態に陥るためとても危険な中毒物質です。

ちなみに中毒量は40-50mg/kgと言われており、市販のカロナール1錠(1錠300mg)を誤食してしまうとほとんどの子は中毒を起こします。

また、中には感受性が高い猫もいて、10mg/kgでも中毒になったという報告もあります。

薬系に関しては、危ないという意識があるので発覚しやすいのですが、意外とわかりにくいのがロキソニンテープなどのNSAIDsのテープです。

貼って使うものなので、意外と盲点で、ゴミ箱に捨てていたりということがよくあります。

ねこちゃんはざらざらした面を舐めたりが好きな子も多いので、うっかり舐めてたりかじってしまうと急性の腎不全を起こすことがあります。

症状から何かの中毒を疑っても腎不全になる中毒物質は比較的多いのでまさかそれが原因と思わず、なかなか原因がわからないこともよくあります。

捨てる際には絶対にいたずらできないところに捨ててくださいね。


育毛剤

お父さんが育毛剤で飼い猫ちゃんの具合が悪くなるというのもなかなか発覚しづらいケースです。

まさか、育毛用の外用薬がそんなことを起こすなんて…ということでなかなか稟告も上がってこないので、隠れ症例も多いのではないかと思っています。

発毛剤に含まれるミノキシジルは強い血管拡張作用があり、嘔吐や流涎、ぐったり、呼吸困難、血圧の低下などを起こします。

肝障害も起こす可能性があります。

ねこちゃんは自分の体についた外用薬をグルーミングのときに舐め取ってしまいやすいので、洗面所でスプレータイプのものを使っていると、床に付着した薬を踏んで、それを舐めてしまうということも考えられます。

あとは、寝ている人間の髪の毛をザリザリ舐めるのが好きな子もいるので髪に残った外用薬を経口摂取してしまうということも考えられます。

ティーツリーオイル

殺菌作用のある自然派の成分として人気のティーツリーオイルなのですが、これも危険な成分です。

皮膚の塗布や誤って舐めてしまったという事例で死亡報告もあります。

よく見られるのはふらつき、強い眠気、元気消失、流涎、筋力の低下などですが、重症になると肝不全や腎不全にも進行します。

自然なものだと安心というイメージもあるので、発覚しづらいこともあるので、ご自宅で人間用のティーツリー成分の入った商品を使って…ということがないようにご注意ください。

最後に

以前にも取り上げたことのある中毒ばかりですが、最近、ねこちゃんの中毒物質の摂取は発覚しづらいなと感じる出来事があったので、なかなか原因としてあがってきづらいものを取り上げてみました。

人間が使うものも含めて、成分には十分にご注意くださいね。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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