
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
わんちゃんは意外と腰痛を起こすことの多い動物です。
そしてその原因として多いのが『椎間板ヘルニア』です。
今日は、そんな『椎間板ヘルニア』の話をしたいと思います。
獣医さんが解説する腰痛の一番多い原因『椎間板ヘルニア』

こんな腰痛はヘルニアを疑う
典型的な椎間板ヘルニアは、急にキャンと鳴いて、痛みで動けなくなる、もしくは後ろ足が立たなくなるという症状が出ます。
程度が軽いと腰痛やフラつきというような症状が出ますが、程度が重いと足が立たなく(麻痺)が出ます。
診断にはMRIやCTなどの麻酔下の画像診断が必要ですが、軽度の場合は犬種や状況、症状からヘルニア疑いと暫定診断して治療に入ることが多いです。
神経系の疾患の場合、同じような症状を出すこともあるので暫定診断が必ずしも正しいわけではないのですが、他の病気の場合は基本的に進行性があることが多いので、急性に発症し、時間とともに症状が緩和していくという経過の場合はやっぱり椎間板ヘルニアの診断で良さそうという判断になります。
椎間板ヘルニアって?
では、椎間板ヘルニアって結局どんな病気かというと、一言で言うと脊髄神経を圧迫して痛みや麻痺を起こす病気です。
そして、椎間板ヘルニアには2つ種類があるのですが、一般的に椎間板ヘルニアというと急性に起こるハンセン1型の椎間板ヘルニアのことを指すことが多いです。
椎間板とは、椎体と椎体の間のクッションのことで、髄核という中心部とそれを囲む線維 輪から形成されています。
ハンセン1型の椎間板ヘルニアの場合は、この髄核の一部が何らかの力がかかったときに線維輪を割って上部に飛び出してしまいます。
この上部には神経孔という脊椎神経の通る空間があり、この空間は神経が通るスペースしかないため髄核が飛び出すことで神経をその分圧迫するというわけです。
この圧迫の程度が軽ければ、痛みやふらつき程度、重ければ麻痺が出ます。
ちなみに、この椎間板が遺伝的に老化しやすく、若くして水分を失って弾力がなくなるのが軟骨異栄養犬種と呼ばれるM.ダックスフンド、フレンチ・ブルドッグ、ペキニーズ、シーズー、ウェルシュ・コーギーなどの犬種で、ヘルニアを起こしやすい犬種として知られています。
ただ、非軟骨異栄養犬種ではあるものの、チワワやT.プードルも意外と椎間板ヘルニアを発症することも多いので、犬種とは別に体質的になりやすい子もいるとも言えます。
ちなみに、椎間板ヘルニアにはグレードがあり、
グレード1は痛みのみ
グレード2はふらつきもあり
グレード3は麻痺(ただし自分で足を動かすことができる不完全麻痺)
グレード4も麻痺、自分で足を動かせない完全麻痺
グレード5は完全麻痺かつ深部痛覚も消えてしまいます。
治療方法は?
ごく軽度であれば痛み止め/ステロイドとケージレスト(安静)、ふらつき以上の症状があるようであればステロイドとケージレスト(安静)を使って治療します。
薬ももちろんですが、一番重要なのは安静で、なるべく動かさずに炎症がひけるようにしてもらうのはもちろんのこと、線維輪の割れ目が修復されるまでは残った髄核が飛び出しやすい期間のため、なるべく負荷を減らしてもらう必要があります。
ただし、グレード3〜4以上になると、内科的に治療しても麻痺が残ることもあり、手術適応になってきます。
一度起こしたら何回も起こる?
前の項目でも出てきたように、椎間板ヘルニアは椎体と椎体の間のクッションから線維輪を割って髄核が神経孔に飛び出す病気です。
そのため、繊維輪が修復する3〜4週間は追加して髄核が飛び出しやすい期間です。
また、椎体は背骨の数だけあり、その複数の椎間板で弾力を失っていることがよくあります。
一度、椎間板ヘルニアの症状が出たということは、別の椎間のクッションでヘルニアを起こす可能性があるということでもあるのです。
結果、一度なった子は二度目三度目も起こしやすいので腰に負荷をかけにくい生活を心がける必要があります。
最後に
椎間板ヘルニアは実は冬の病気と言われています。
秋から冬にかけてだんだんと寒くなる時期にも増える病気なので、腰痛になったらこの病気のことを思い出してもらえたらと思います。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ